非破壊検査の検査の種類や特徴を解説します

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非破壊検査

対象物を破壊することなく
調べる検査

非破壊検査とは、検査対象物を破壊したり傷をつけたりすることなく、表面の傷や劣化の状態などを調べる技術のことを言います。

故障や破損によるトラブルを未然に防ぐため、さまざまな工業製品や構造物に非破壊検査の技術が役立てられています。

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安心と品質を守る非破壊検査

あまり聞き慣れない非破壊検査ですが、
私たちの生活の身近なところで、安心・安全な暮らしや製品の品質を守るために活用されています。

非破壊検査とは、検査対象物を破壊したり傷をつけたりすることなく、劣化や欠陥などの内部解析、形状やサイズ測定ができる検査技術です。
このような検査は、部品の欠陥や故障の早期発見に繋がるため、トラブル防止や安全確保の面で重要な役割を果たしています。
非破壊検査の対象物は建物、鉄道、地中の埋蔵物、原子力発電所といった公共設備から成形品をはじめとする小さい工業製品まで非常に多く、
幅広い業界で必要とされております。

非破壊検査のメリット

目視では発見できない欠陥を検査できるため、検査対象物を破壊することなく検査ができるという点が最大のメリットです。
検査対象物は内部の検査を求められているケースが多く、内部の模様を形成できる非破壊検査は非常に有効な手法と言えます。
また、非破壊検査は検査コストを大きく抑えることが出来るため、導入により、検査効率の向上や、全数検査・検査の半自動化の実現を期待することができます。

  • 輸送機器

    自動車、電車、航空機などの輸送機器に欠陥や重大な劣化があれば、命にかかわるトラブルにもつながりかねません。そこで未然にトラブルを防ぐために、部品製造時の検査や定期メンテナンスに非破壊検査技術が用いられています。
    例えば、自動車の「重要保安部品」と呼ばれる基本性能に関わるエンジン回り・足回りの部品の検査や、鉄道の車軸や輪軸、レールなどの定期メンテナンスを支えているのも非破壊検査。そして国内トップクラスのシェアを誇るのが電子磁気工業です。
    他にも、航空機製造や宇宙開発分野、アミューズメントパークのアトラクションの保守・メンテナンスにも、電子磁気工業の非破壊検査技術が役立てられています。

  • 設備・構造物

    プラント設備、橋梁などの各種設備や構造物も、劣化を見逃せば大事故につながりかねないもの。対象物を壊すことなく劣化・寿命を評価する際にも非破壊検査が役立ちます。
    さまざまな素材が用いられているだけでなく、高所・地中・水中など検査対象物の場所も多種多様。そのため、検査用途に応じてさまざまな非破壊検査の手法が開発されています。

主な活用場所

  • 鉄道車輌・自動車・航空機
    鉄道車輌・自動車・航空機
  • ボイラ・球形タンク・パイプライン
    ボイラ・球形タンク・パイプライン
  • 船舶・ロケット
    船舶・ロケット
  • ビル・マンション
    ビル・マンション
  • 石油・化学関係のプラント設備
    石油・化学関係のプラント設備
  • コンクリートポンプ車
    コンクリートポンプ車
  • 製鉄関係のプラント設備
    製鉄関係のプラント設備
  • 橋梁・橋脚・鉄塔・工場煙突
    橋梁・橋脚・鉄塔・工場煙突
  • 発電所・火力、原子力、水力他
    発電所(火力、原子力、水力他)
  • トンネル・コンクリート構造物
    トンネル・コンクリート構造物

非破壊検査の種類

  • 磁粉探傷試験
    (MT)

    • 箇所:表面・表層
    • 対象物:強磁性材料
    • 特徴:検査工程が少なく感度に優れる
  • 渦電流探傷試験
    (ET)

    • 箇所:表面
    • 対象物:導電性材料
    • 特徴:前処理が不要で自動化しやすい
  • 浸透探傷試験
    (PT)

    • 箇所:表面
    • 対象物:
      金属・非金属
    • 特徴:
      多様な材料に適用できるが工程数が多い
  • 超音波探傷試験
    (UT)

    • 箇所:内部
    • 対象物:
      金属・非金属
    • 特徴:
      大型鍛鋼品の内部検査が可能
  • 放射線透過試験
    (RT)

    • 箇所:内部
    • 対象物:
      金属・非金属
    • 特徴:
      安全管理が必要だが広範囲に適用可能

MT:magnetic testing

磁粉探傷試験

磁粉探傷試験(磁気探傷試験)は、「漏洩磁束」現象を用いて表面・表層きずを検知する検査方法です。検査対象物は強磁性材料(磁石に吸着する材料)の鉄・コバルト・ニッケルなどに限られますが、検査工程が少なく感度に優れる特徴から機械部品や鉄鋼材料、溶接部などの検査に広く活用されています。
電子磁気工業は磁気応用分野のリーディングカンパニーとして、磁粉探傷機器では国内トップクラスのシェアを誇ります。

※検出する欠陥:割れ、線状キズ、表面欠陥 等

くわしく⾒る

ET:eddy current testing

渦電流探傷試験

電磁誘導を利用した非破壊検査試験の一種で、コイルを検査対象物に近づけ、磁界の作用でできた渦電流によって表面きずの検出を行う検査方法。検査対象物は導電性材料に限られます。
前処理が不要なため自動化しやすい点が大きなメリットで、自動車部品などの大量生産ラインに適した検査方法となっています。

※検出する欠陥:割れ、線状キズ、表面欠陥 等

くわしく⾒る

PT:penetrant testing

浸透探傷試験

浸透探傷は毛細管現象を利用し、検査対象物の表面に開口したきずを検査する方法です。
浸透液を染み込ませた後、表面を洗浄し、さらに現像剤を塗布。きずがあれば指示模様として現れます。金属・非金属を問わず利用が可能です。

※検出する欠陥:割れ、ピンホール、線状キズ、表面開口 等

UT:ultrasonic testing

超音波探傷試験

超音波を検査対象に当てると物質の界面で反射波が生じます。対象物に反射した超音波の大きさや時間、またはその反射を画像化して内部の欠陥を検出します。もし、溶接や鋳鋼など金属製品に欠陥があれば、欠陥部分の大きさや欠陥のある場所を把握できます。欠陥部分が球状になっている場合や、鉛など一部の素材には適していない検査方法です。超音波探傷試験は内外の欠陥、厚み測定、建造物調査に適しており、発電、石油、ガスなどの現場で使用されます。

※検出する欠陥:溶け込み不良、内部欠陥、巣、厚さ、結合不足 等

RT:radiographic testing

放射線透過試験

検査対象に放射線を照射し、透過していく度合いで調べる方法です。もし、溶接や鋳鋼など金属製品の空洞があると、通常より放射能が透過していくため欠陥部分を黒い影として検出することが出来ます。放射線透過試験は内外の欠陥、厚み測定、建造物調査に適しており、主に発電、石油、ガスなどの現場で使用されます。

※検出する欠陥:プロホール、溶け込み不良、内部欠陥、異物、空隙 等

重要性を増す非破壊検査

ものづくりにおいて高品質、安全性を維持するために非破壊検査は必要な技術です。
製造現場では、これまで属人化されてきた項目も機械化が進み、それに伴い非破壊検査の需要も年々上昇傾向にあります。

また、世界的に生産品の評価が高い日本の技術ですが、生産拠点を海外へ移行する業界も増えてきました。
日本の技術や製品に注目が集まることで、品質や製品の安全性がさらに重視されるようになり、非破壊検査を導入する業界が増えています。
確かな品質が求められる昨今、将来的にも非破壊検査の市場はより加速し、世界規模で拡大していくでしょう。

技術的な観点においても、徐々にAIのサポートを導入した非破壊検査ソリューションも提供されるようになっています。今後も、検査需要の増加に伴い発展が期待されている分野です。
電子磁気工業では、非破壊検査の中でも、磁粉探傷試験、渦流探傷試験、浸透探傷試験の3つの試験に大きな実績を持っております。

電子磁気工業は、表面探傷のエキスパート。国内トップクラスの実績がございます。
非破壊検査でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。